80分の物語
HISTORY of TOSHIBA Brave Lupus
「勝利したサントリーのみなさん、おめでとうございます。非常に素晴らしいプレーでした」
試合後の記者会見、トッド・ブラックアダーHCはこう切り出した。
「こういうことは時々起こる。サントリーが良い試合をしただけ。ここから立ち上がっていきたい」とも。
想像しなかった80分だった。
得意なはずのブレイクダウンで、何度もペナルティをとられた。
リーチマイケル選手は「テンポ良くアタックしたかったが、サントリーもブレイクダウンに強いプレッシャーをかけてきた。ブレイクダウンの質をあげないと、サントリーのような強豪チームと戦うと大変なことになる」と反省。
自陣でのペナルティは、ボーデン・バレットに3点取る機会を献上することと同義語。4ペナルティゴールに、6コンバージョンゴール。合計24点、黄色ジャージの10番に取られた。
小川キャプテンは、前半21分と前半終了時、関谷レフェリーに話し掛ける。重なる東芝のペナルティ判定に、基準の確認をしたのだろうか。2度とも、長いこと言葉を交わした。
しかし、後半に入っても中々接点の不確かさは改善されない。リズムに乗りきれない、東芝フィフティーン。
待ちに待ったスコアは、後半26分を回った時のことだった。
モールを押し込んで、7番マッド・トッド選手がトライ。今シーズン初出場となった共同キャプテンの徳永祥尭選手(20番)も、最後背中を押し込んだ。
ようやくのトライ、なにかきっかけを掴みたい1トライ目。
だが、余力は残っていなかった。
この日フロントロー登録されていた6人のうち、3人が負傷。後半34分には、プロップの選手を揃えられずアンコンテストスクラム(スクラムの陣形は取るが、実際には組まないこと)になってしまった。
セットピースを大黒柱とする東芝として、どう頑張っても苦しい。
だが、下を向いてばかりいられない。
「準備の段階では本当に良かった。この経験を、次に活かしていきたい」と試合後に語った小川高廣キャプテン。
次節は金曜ナイターに、同じく秩父宮ラグビー場でNTTコミュニケーションズと対戦する。
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