1st Half
試合前日、サンウルブズのキャプテン、エドワード・カーク選手は言った。
「各自がやりたいスタイルでプレーして、みんながそれに合わせる。それがサンウルブズです。」
やりたいことに、チャレンジする。
その一つ目が、スタンドオフの山沢拓也選手が放った飛ばしパスだった。反応した11番・尾﨑晟也選手は内に返すと、13番のディラン・ライリー選手がキャッチし陣地を広げる。
躍動する、平均年齢25.3歳の若いバックス陣。
パントキックへのプレッシャーが冴えた野口竜司選手
フォワードも奮起した。
スクラムでコラプシングを奪えば、1番・森川由起乙選手と4番・長谷川崚太選手が力強くハイタッチを交わす。そしてベン・ガンター選手は、次々とフォワード陣を抱きしめた。
やりたいことに個々がチャレンジする。
その言葉の意味を、体現する。
一方の日本代表は、試合冒頭からキック処理で崩れ、ブレイクダウンでも精彩を欠いてしまう。
「ブレイクダウンが後手に回ってしまった。今日のような前半の入りをしてしまうと、テストマッチでは取り返しがつかなくなる。」
そう語ったのは、日本代表のフッカー・坂手淳史選手。
準備期間が圧倒的に短いサンウルブズを相手に、前半は思うような「ティア1のスタンダード」を出し切れない。
前半特に目立ったのは、山沢選手の10番としてのスキル。
相手チームがペナルティキックを選択すると、ガンターにライリー、カークに野口。そのあと逆サイドに行って、梶村・北川・尾崎。みなに意志を伝達して回る役目を担った。
即席チームだからこそ求められる、10番としての統制力。
スペースを突いた山沢選手のいくつかの連続したキックから、この試合最初のトライは生まれた。
前半35分にはドロップゴールを狙った
バックファイブと呼ばれる4番から8番までの選手たちの懸命な働きも、サンウルブズの屋台骨だった。
「この素晴らしいチームのジャージをもう一度着れることが嬉しかった。」
そう語ったNo.8のベン・ガンター選手は、ほぼ2019年のワールドカップメンバーである日本代表を相手に幾度もジャッカルを決め、テストマッチのインテンシティで戦えることを証明した。
キックでエリアを広げ、その先のブレイクダウンではフォワードが勝利し、しっかりとバックスでトライを取り切ったサンウルブズ。
前半を2トライ2ゴールとリードし折り返す。
2つ目のトライは竹山晃暉選手。アップをしていたリザーブメンバーも笑顔で駆け寄った