1st Half
2017年以来4年ぶりの対戦となった今カード。
同じ時期に行われた4年前の横浜よりも、今日は幾分風が冷たい。
序盤は自陣でのプレーが続く日本。
最初に22mに入ったのは、こぼれ球に反応したジャック・コーネルセン選手のキックからだった。
ボールが転がった先で全力で確保したジャパンは、流選手がボックスキックを選択すると、セミシ・マシレワ選手のプレッシャーで初めて22mに入る。
しかしそこはワラビーズ、すぐにハーフウェイまで戻されてしまう。
直後に訪れた勝負のファーストスクラム。
しかしすぐさま笛が吹かれ、アーリーエンゲージを取られたのは日本サイドだった。頭が当たっているから、という理由だった。
「2本目からは距離をとってスクラムを組もうとしたが、思った以上に距離があった。最初のヒットは良い感じだったが、距離があった分足を詰める動作が遅くてプレッシャーを受けた印象がある(稲垣選手)」
前半はなかなか、スクラムでレフリーの印象を変えることが出来ずに苦戦した。
前半7分、ワラビーズに先制を許すと、日本は敵陣でのペナルティでPGを選択。
前半15分、松田力也選手の右足でまずは3点を獲得する。
最大の見せ場は、前半26分。
敵陣22m付近の左サイドで姫野和樹選手らがディフェンスを集めると、松田選手は右サイドに大きなキックパスを蹴り上げる。
そこで待ち構えていたのは、14番のレメキ選手。落ち着いて目の前のインゴールに飛び込み、トライを奪った。
「狭いスペースに攻めたらDFが寄ってきていたので、自分のスキルと外からかかったレメキのコールを信じて蹴った。良いキックを蹴ればトライを取れると信じていた、練習してきたことが出せた。(松田選手)」
キックオフのキッカーはレメキ選手、タッチキックのキッカーはマシレワ選手と、シチュエーションによって役割が棲み分けられていたこの試合。
「ブラウニー(トニー・ブラウン アシスタントコーチ)からキックオフはセブンズでのキッカー経験があるレメキ、タッチキックはキック力のあるはマシレワ、の戦術と言われた。でもあれはきっと、自分の10番としての負担を減らしてくれるプランだったかな、と思う」と推し量った。
堅い出足も、時間の経過とともに少しずつジャパンの形が出来てくる。
前半34分には姫野選手がジャッカルを決めると、真っ先に駆け寄ったのはベン・ガンター選手だった。
ガンター選手は、オーストラリアの13番レン・イキタウ選手と19番ダーシー・スワイン選手とともに、6年前までブリスベンボーイズカレッジで戦っていた。
だからこそ「ワラビーズはスペシャルな相手。このジャージを着て、彼らと一緒に日本でプレーができて本当に特別な気持ちになった。叶えたかった目標を現実にすることが出来た」とファーストキャップへの特別な想いを口にする。
一方で、自らの改善点も冷静に分析をしていた。
「ティア1レベルになると、ブレイクダウンでたくさんチャンスがあるわけではなく、せいぜい2・3回。だからこそエナジーを節約しながら、タイミングを見極める必要がある。いかに判断して、タイミングを見定められるようになるか。それが課題です」と前を見据える。
アドバンテージが出る度、観客席からは手拍子が聞こえた。
選手たちの背中を後押ししよう、そんな気持ちがこもった合いの手。
呼応すように敵陣深くで幾度かラインアウトモールを組んだ日本だったが、しかしアンプレアブルで絶好の機会を失ったブレイブブロッサムズ。
前半を、13-17と4点ビハインドで折り返す。
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