今季5度目の対戦。東福岡と石見智翠館の『ベアーズカップ』始まる|高校ラグビー

セレモニー

試合後には、両チームのジャージが半分ずつデザインされたクマのぬいぐるみがお披露目された。

故にこの試合名称は『ベアーズカップ』。

今後、敗者側の監督が勝利チームのキャプテンに渡し、勝利チームが保管することになるという。

石見智翠館の安藤監督は「毎回渡さなあかんから頼むで」とひとつ笑うと、東福岡の八尋キャプテンに手渡した。

注釈:定期戦の場合には両校ファーストジャージを着用するため、ベアーズカップの位置付けは準定期戦(2021年10月29日編集・追記)

石見智翠館と東福岡の距離は、およそ300km。

今回は石見智翠館が2台のバスを3人の監督・コーチ陣が交代で運転し、福岡までやってきた。

チームは違えど、ラグビーという共通の情熱で繋がった2校の絆。

これからもともに、高校ラグビー界を牽引する。


試合後、石見智翠館高校を見送る東福岡高校ラグビー部。両校併せると、部員数は247名にのぼる

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編集後記 ~憧れのお兄ちゃんたち~

グラウンドの四方には、地元のラグビースクールに通う子どもたちがたくさん詰めかけていた。

いくつかのチームはインゴール裏で練習を、その他のチームは試合を見学。そしてグラウンドが空いた午後、人工芝のグラウンドいっぱいに各チームが練習を行った。

福岡県で生まれ育ち、自身も中学生時代から東福岡高校のグラウンドで練習をしていた楢本選手は言う。

「ずっと憧れの存在でした。試合の時には周りで観戦して、とても良い刺激になったからこそヒガシに行きたいという思いが芽生えた。今ここで練習をするスクール生たちも、高校生になったら東福岡に行こうと思ってくれればいいなと思います。」

身近な、そして目標とする憧れのお兄ちゃんたち。それが東福岡高校ラグビー部なのだ。

「ラグビーが出来る場所はそうないですから。だからうちにどうぞ、って。」

そう話す藤田監督は、試合中、インゴールの後ろから試合を観ていたラグビースクールに声を掛け、東福岡ベンチの横に呼び寄せた。「そんな遠くで見てないで、もっと近くで見なよ」そう付け加えて。

藤田監督が子どもたちに「寒くない?寒かったらベンチコート貸すよ」と問えば、子どもたちは「寒くない!暑い!」と元気に答える。

こんなちょっとのコミュニケーションでも、子どもたちの記憶にきっと残るはずだ。

数年後には、オレンジと緑のジャージを身につけてこのグラウンドを駆け抜ける選手も少なくないであろう。


試合中、東福岡がボールを持てば「イケー!」と大きな声で応援した

国内最高峰リーグであるジャパンラグビー リーグワンは『あなたの街から、世界最高をつくろう』をビジョンに掲げ、先日スタートを切った。

どのチームも、あの手この手でホームタウン化に向けた新しい取り組を始めている。

しかし、ふと気が付く。

ここ東福岡高校では、リーグワンの定める4つのミッションが既に実行されているのではないか。

 

だれもがラグビーを夢中になって楽しみ、興奮と感動を共有できる環境。

日本ラグビーの質と技量の常なる向上を図り、ラグビーの新たな魅力と驚きをひろげる縦と横の繋がり。

地元が結束し、一体感の中で強いつながりを感じる文化もある。

そして何より、福岡の地にいるファン、チーム、企業、地域とひとつになり、社会に貢献するという考えが行動に移されている。

 

東福岡高校ラグビー部は、自然と『みんなのためにFOR ALL』を体現していた。


ラグビースクールに通う多くの幼稚園生~中学生、そして地域・保護者の方たちの前で、高校ラグビー界トップクラスの試合を見せる両校

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