ラグビーの季節がやってきた。
花園出場を目指し、青春をかけて戦う選手たちをレポートする。
試合概要
【対戦カード】
埼玉県立深谷高等学校v 埼玉県立熊谷高等学校
【日時】
2021年10月30日(土)13:00キックオフ
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試合結果
深谷 33 – 14 熊谷
試合展開 ~深谷高校~
試合後、山田久郎監督はインタビューエリアでひとつ笑顔を見せると、力を込めて言った。
「めっちゃくちゃ緊張しました」
対戦相手の熊谷高校を率いるのは、横田典之監督。4年前まで深谷高校を率い、数々のラグビープレーヤーを送り出してきた名将だ。
もちろん山田監督も、深谷高校で横田監督の指導を受けた選手のうちの1人。
だからこそ「だれよりも緊張していたと思う」と素直に口にする。
それだけではない。互いのコーチ・スタッフ全てが、深谷高校に縁のある人たちだった。深谷高校を代表して戦う、そんな環境に試合前「僕は幸せです」と横田監督に伝えた。
出足は熊谷高校のタックルが光った。
右に左に、どちらに行ってもタックルで止められる。
「春先からずっと一緒に練習をしてきた相手(宮下キャプテン)」だからこそ、互いの癖も特徴も、そして強さも知りつくしていた。
流れが変わったのは、前半7分。
敵陣深くでのラインアウトをしっかり確保すると、フォワードを当てた。
最後に押し込んだのは、頼れるキャプテン。1年生プレイスキッカー、飯塚選手(15番)のコンバージョンゴールも決まり、7点を先制する。
「試合序盤の苦しい時間帯を無失点で抑えられたことが、自分たちの勢いに変わった」と、宮下キャプテンは振り返る。
前半23分には熊谷にトライを許した。
それでも流れを明け渡さなかったのは、前半ラストプレーでトライを取り切ったから。
前半のラストワンプレーは、敵陣5mでの相手ボールラインアウト。
深谷の選手たちは、ラインアウトを競る陣形を取っていなかった。だから監督らコーチ陣は、フォワードの選手たちに「競れ!!」と伝えた。
結果、熊谷のスローインはノットスレート。マイボールラインアウトに変わり、そのままモールを押し切った。
熊谷にとっては、痛すぎるトライだった。
勝負の60分を終えると、両校の選手たちは抱き合って互いの健闘を称え合った。
身近なライバルであり、ともに強くなった仲間。
深谷は、熊谷高校の想いも胸に、準決勝・熊谷工業戦に挑む。
最後のノーサイド ~熊谷高校~
「悔いないだろ?やり切っただろ?」横田典之監督は問うた。
「はい」五十嵐キャプテンは、まっすぐに答えた。
試合開始早々、グラウンドいっぱいに使った深谷の攻撃が襲い掛かる。
しかし、1対1のタックルで止めきった熊谷高校。
13番・岸澤選手の低いタックルに14番・勝又選手のタッチに押し出すタックル。そして15番・五十嵐キャプテンによる、どこから飛んできたのか分からないインゴールまで残り1mでの気持ちがこもったタックル。
勝ちたい、勝つ。
気持ちがいいほど、素直な気持ちの現れるラグビーだった。
後半25分には、26点差をつけられていた熊谷。
しかしどれだけ点差をつけられようとも、最後まで攻める気持ちは失わなかった。
後半26分、フォワードが体を当て続けて少しずつ前進すれば、最後は2番・河路選手がインゴールに押し込む。
そのボールをすぐに受け取ったプレイスキッカーの五十嵐キャプテンは、キックティーを使うことなくすぐにコンバージョンゴールを蹴り上げた。
どれだけ点差が離れようとも、どれだけ残り時間が少なかろうとも、最後まで。
試合後、ともに時間を過ごした仲間への想いを聞かれた五十嵐キャプテンは、涙を見せながら感謝の想いを口にした。
「みんなが支えてくれたから、今この場に立てていると思う。苦しい時期も、一緒にラグビーをしてくれてありがとう。」
熊谷高校は、今年も素敵なチームだった。
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