The Side of 法政大学
試合開始直後から叫ばれた「法政、ノーペナ!」の声。
開始10分で4ペナルティ。
ラインアウトモールが強みの日大相手に、最も気をつけなければならないことだった。
スコアボードを動かすことが出来たのは、前半も20分を過ぎた頃。
今度は逆に3連続ペナルティを奪い、2番・井口龍太郎選手が右隅にボールを押し込んだ。
「こっからこっから!」
「我慢しよう我慢!」
試合中声を出し続けたのは、13番・伊藤浩介選手。
バイスキャプテンを務める伊藤選手は「怪我人が相次ぎ、フルコンタクトの練習を満足に行えなかった」とシーズンを振り返った。
「これ以上怪我人を出せない状況のため、防具を使って練習していた。だからタックルで上に入る癖がついてしまい、最後足を踏み込みきれなかったことが、この試合でハイタックルが相次いだ要因だと思う。」
コロナの影響は、プレーひとつまで及んだ。
駒井監督も「開幕前は1ヵ月の入院状態だった」と表現する。
無理はない。
新型コロナの感染者が発生し、およそ1ヵ月間練習を行うことが出来なかった。
体作り、チーム作りが満足に出来なかったがために、リーダー陣にも骨折が相次ぐ。思うような強化が出来なかった。
大学選手権への出場叶わず、また入れ替え戦に回ることのない法政にとっては、この試合が最終戦。
秩父宮に駆け付けたファンを前に、集大成となる試合を見せたかったが、前半最後にインゴールでのハイタックルで10番が、後半20分にインテンショナルノックオンで15番がシンビンを受けるとその間に計3被トライ。
「14人で20分間戦う状況を作ってしまったことが一番の敗因(駒井監督)」
今シーズン最多得失点差での敗戦となった。
厳しいリーグ最終戦となったが、大澤蓮キャプテンは未来への言葉を口にする。
「法政ファンがたくさん集まった試合での敗戦は悔いが残る。後輩たちには来年の春季大会、そして次のリーグ戦に向かって頑張ってもらいたい。」
想いは、しかと受け継がれた。