「彼がこの大会を通してキャプテンになれるチャンスだった」流経大柏・中川主将が歩み出したファーストステップ|第23回全国高等学校選抜ラグビーフットボール大会 京都工学院×流経大柏

1点ビハインドで迎えた後半。

後半4分のトライでまずは逆転をすると、相亮太監督は5番・中川功己キャプテンを呼び寄せ、落ち着いた声色で言葉を掛けた。

「お前に掛かってる。『俺についてこい』って見せる所だぞ。」

そして中川キャプテンが円陣に戻ると、「あいつが成長するチャンスだ」と相監督はつぶやいた。

役職が、人を作る。

それはラグビーだけでなく、どんな環境にも通ずるだろう。

「チャンスだと思った」とは相監督。「キャプテンがキャプテンたる、っていうところで、彼がこの大会を通してキャプテンになれるチャンスだった。」

本当はユーモアのある選手。だがどちらかというと仏頂面で、なかなか一歩前に出られない性格でもあった。

だから今日は「キャプテンらしく『俺について来い』っていうようなプレーができれば、あの子自身も変わるかな、と思って。」

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中川キャプテンは奮起した。

「監督にああやって言われた以上は、キャプテンとして自分から行かないと、と思った。」

後半の苦しい時間帯、誰よりも早い出足でDFラインを押し上げ、思い切りの良い強烈なタックルを見舞った。

「いやー、良かったですね。今までは『もうちょっとやっくれたらな』っていう部分があった。それ厳しいところをプレーでブレイクしていってくれました。(相監督)」

中川選手を主将に据えた意味について、相監督は「今年は能力があって、主張出来るタイプの選手が多い。だからこそ責任の所在を明示し、誰かに決定権を与えてあげないといけない。旗を振り続けられるキャプテンが必要だった」と話す。

下級生の頃からレギュラーとして出ていた他の選手たちにはリーダーグループとして別の役割を与え、もう少し自由にラグビーをさせるようにした、とも加えた。

 

監督がキャプテンを託した意図を、そして「俺についてこい、って見せる所だ」と掛けた言葉の意味を、中川キャプテンは1年掛けて理解していくことだろう。

「今年のスローガンは『必至』。やってきたことが必ず試合で出る、偶然はない、という意味です。監督がつけてくれました。」

キャプテンとなり、監督とコミュニケーションを取る機会も増えた。「冷静だけど、士気が上がる言葉を掛けてくれる方。頼られるキャプテン、『こういう時は自分が!』というキャプテンになりたい。」

流通経済大学付属柏高等学校ラグビー部第36期キャプテンとして、中川功己らしい色のチームを作る。

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