「お前ら、強いよ!」自分たちを信じた報徳学園が決勝進出。桐蔭学園は「まだ機械的なラグビーしか出来ていない」|第23回全国高等学校選抜ラグビーフットボール大会 準決勝 桐蔭学園×報徳学園

桐蔭学園

「うちの今の立ち位置です。」

試合後、藤原秀之監督ははっきりとした口調で語った。

ブレイクダウンも、ボールキャリーも、何もかも。前半3本目のトライで勝負が決まってしまった、と振り返る。

試合前、桐蔭の円陣から聞こえてきたのは「笑顔えがお!」の声。

前日に昨季の花園覇者・東海大大阪仰星との激闘を戦った疲れはなかった、とゲームキャプテンの守安史成選手は言う。

その言葉通り、ファーストトライは桐蔭学園。

13番・白井瑛人選手が縦に力強く走り込みおよそ30mのビッグゲインをみせると、10番・矢崎由高選手が次のポイントで粘り、最後はFW戦で押し込んだ。

だがその5分後にはラインアウトモールからテンポ良くトライを奪われると、前半25分には蹴り上げたボールをチャージされそのまま相手の快速ウイングによってゴールラインまで運ばれてしまう。

あっという間に、逆転を許した。

そのまた3分後、今度はハーフウェー付近で報徳のNo.8にインターセプトされると、再びの独走トライ。これが、冒頭藤原監督が「3本目のトライで勝負が決まった」という3本目のトライである。

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「プレーメーカーとしての自分の未熟さが生んだ結果。桐蔭学園のスタンドとして、恥じるようなプレーをしてしまったと思っている。」

試合後、今季からスタンドオフに挑戦した矢崎由高選手は自らの未熟さを憂いた。

トライ数は前半1本、後半2本。相手に与えたトライの、僅か半数である。


2つ目のトライを取られた後、暫くその場から動けなかった矢崎選手。「(被トライ後の円陣では)出来なかったことを一つだけ、「なんで?」ではなく、何が出来なかったかを明確にした。自分たちに何が出来るのか、そこで何を切り捨てなければならないのか、考えみんなに話をした。」

決してボールを持てなかったわけではない。

勝負のラストクオーター、ほとんどの時間帯で所有権を得ていたのは桐蔭学園だった。

だが、相手陣深くまで持ち込んでもペナルティーやヘルドアップで陣地を戻され、なかなかフィニッシュすることが出来ず。

焦りからか、ハンドリングエラーも増えた。

 

スキルは十二分にある。

ただ、実践、いや公式戦、もっと言えばチャンピオンシップにおける戦い方が自分たちで理解できないまま、準決勝の舞台に立ったような印象も同時に受ける。

守安ゲームキャプテンは「みんな試合に慣れていなかった。チームメイトとしか試合形式の練習が出来ず、他のチームと本気で試合をした時の対応力が欠けていた」と分析する。

「自分たちは出来ることが多くないので、『前に出る』ということをテーマにしていた。でも1対1で前に出ることが出来なかった。試合経験の少なさや、追い詰められたシチュエーション下での経験の少なさが影響した。」


怪我のため今大会は帯同しなかった松田怜大キャプテンから、毎試合分析や振り返りが送られてきていた。「勝ったところで浮付くなよ」の一言とともに

桐蔭学園の強みは、一人ひとりの状況判断。

「まだ自分たちは、機械的なラグビーしか出来ていない。日頃の練習から一人ひとりが考えるような練習をし、全員が考えられるラグビーをしたい。(守安ゲームキャプテン)」

今日この日から、桐蔭学園のラグビーを追い求める1年がリスタートする。

 

矢崎由高選手の試合後インタビューはこちら

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