報徳学園
「お前ら、強いよ!」
キックオフ直前、体格の大きいFWの中に混ざり、声を掛けたのはスクラムハーフ・村田大和選手。
背中を叩きながら、自分たちは出来る、と言い聞かせる。
エリアを大きく回復させるキックには「サンキューね、サンキュー!」
ペナルティーを犯しても「今のは気にせんでいいよ」
自陣5mでの踏ん張り時には「FWいけー!」「がんばれよFW!」と、方々から声が掛かる。
だから、歯車は徐々に回り出す。
60分間で奪ったトライはあわせて6本。
1本目は、ラインアウトモールを起点としたトライ。
2本目は、相手が蹴ったボールをチャージし、こぼれた所を拾った6番・三羽了選手から11番・海老澤琥珀選手に繋がっての50m独走トライ。
3本目は8番・石橋チューカ選手の目の覚めるようなインターセプトからのトライに、4本目はラインアウトモールを3番・木谷光選手が押し込んだ。
前半だけで、4本。相手の心を折るには充分だった。
それでもハーフタイム、11番・海老澤選手は「相手は桐蔭。セーフティじゃないから」と仲間を鼓舞し続ける。
後半は、「楽しめ報徳!」の声とともに14番・中山雄太選手、15番・竹之下仁吾選手とボールを繋いでトライ。
後半22分には、飛ばしパスから大外にいた16番・橋本凌選手がダメ押しのトライを決めた。
初戦、2回戦と大差での勝利。
「今年はあまり強豪校と試合を出来ていなかったので、自分たちの現在地が分かっていなかった」中での準決勝だったと海老澤選手は言う。
しかし結果は、桐蔭学園の倍、トライを奪った。
「ロースコアになると思っていたので、こんなにトライを取れるとは思っていなかった。バックスでトライを取ることも出来たし、FWでもモールで取り切れた。自分たちには実力がある、と実感することが出来た」と、良い意味で自信をつけることが出来た。
「取り切る力もあるし、足が速いメンバーが多いのでサポートに付いて来てくれるという信頼がある。優勝を狙えるメンバーが揃っている。初優勝を目指して頑張りたい。」とエースが言えば、植浦慎仁キャプテンも「いつも練習でやっている通りのことが試合で出来た」と自信をのぞかせる。
決勝の相手は、長きに渡って定期戦を行う東福岡。
「前の相手をしっかり見て、倒していきたい。(植浦キャプテン)」
チーム一丸、初のタイトルを目指す。