試合展開
2年連続同カードとなった決勝戦は、時折強い風が吹く中キックオフを迎える。
「自分たちのプレースタイルが何も分からないまま挑んだ決勝戦だった」と話すのは、熊谷工業13番・江田智也バイスキャプテン。
3戦連続の不戦勝。実践不足の中、熊谷工業は決勝戦を迎えていた。
最初のトライは、前半7分。昌平12番・平岡勝凱選手が縦に押し込み、トライを奪う。
13番・濱田匠バイスキャプテンのコンバージョンゴールも成功し、7点を先制した。
前半8分、熊谷工業のキャプテン・篠崎優元選手が負傷交代。その3分前にもゲームメーカーであるSO佐藤翔太選手を怪我で欠いていた。
「今年の部員は51名。試合が出来なかった間、チーム内でディフェンスの練習をやり込んではいたが、やはりスピードに目が慣れていなかった。目が追いつくまでに時間が掛かり、その間に怪我人が相次いでしまった」と、熊谷工業・橋本大介監督は話す。
それでも出足早く果敢に体を当てた熊谷工業フィフティーン。前半19分には相手のペナルティーからPGを狙えば、熊谷工業12番・須藤大地選手が落ち着いて沈め、3点を返した。
しかし圧力を掛けてくる昌平のディフェンスに押し込まれ、ボールを渡す場面も徐々に増える。
昨年のキャプテン番号を引き継いだ昌平15番・井﨑克選手に2つのトライを許し、前半を19-3の昌平リードで折り返した。
後半も昌平の時間が続く。
12番・平岡選手の縦。6番・田中旭選手の安定したラインアウトスローイングに7番・小山田ロマン選手の力強いラックサイドのボールキャリー。
昨年度も主軸として出場し、「最上級生」となった選手たちの活躍が光る。
何より今年の学年は仲が良い、昌平高校。グラウンド上がどこか3トーン程、明るくなったようにも映る。
例えミスがあっても「FW、取り返そう!」
苦しい時間帯には「楽しもう楽しもう!」
それだけではない。経験値の高い選手が並ぶからこそ、タイムオフの間にも「相手動いてんの見ろ!」と、締めるべき所を心得る。
後半7分には、FWで押し込んで3番・植松進之輔選手がトライ。
22分には右サイドを余らせて最後は10番・廣内颯選手、13番・濱田匠選手と繋ぎ、トライ。
締めは後半29分。
「あと3分、取って終わろう!」と叫んだ1番・橋口博夢キャプテンの掛け声にあわせギアアップすると、これまたディフェンスラインを翻弄しながら最後は11番・堀江凛選手が縦に抜け大外に飛ばしパスを放れば、キャッチした14番・山岸晴選手がトライ。
36-3、昌平高校が見事大会2連覇を果たした。
試合後の後片付けを率先して行ったのは、グラウンドで60分戦い終えたばかりの昌平高校の選手たち。ジャージ姿のまま、片付けに協力した