始まりは選手1人・監督1人。創設丸2年のARUKAS YOUTH KUMAGAYA、初の全国でベスト4|サニックスワールドラグビーユース交流大会2022

今年で創部3年目。

選手1人・監督1人で始まったARUKAS YOUTH KUMAGAYAは、創設から2年後のゴールデンウイーク、初めての全国大会に出場した。

現在の選手数は13名。勧誘に勧誘を重ね、単独チームで戦えるようになったのは1年程前のこと。

2年前のちょうど今頃、つまりは創設から間もない頃、当時唯一の所属選手だった山田 晴楽(やまだ はるら)現キャプテンと菅原 悠佑(すがはら ゆうすけ)監督は、2人で島根県・石見智翠館高校に乗り込み、同校の合宿に混ぜてもらっていた。

「いつか、ここ倒すぞ。」

夢物語のようにも思えた言葉を、2人は合宿中に誓い合った。

 

その時、石見智翠館と約束したことがある。

「晴楽が高校3年生になるまでに、必ず全国に出るから。全国の舞台で戦おう。」

そう口にしながらも「正直、全く想像出来てなかったですよ」と笑う菅原監督。しかしその約束は、ついに現実のものとなる。

4月28日・29日に福岡県宗像市で行われたサニックスワールドラグビーユース交流大会2022 女子セブンズ。

大会初日、プール戦初戦の相手が石見智翠館高校。

あの日交わした約束を、果たす時が来た。

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初戦の緊張からか、序盤はスクラムを組む回数が増える両チーム。

だから初得点も、スクラムが起点。自陣深くでのマイボールスクラムから逆サイドに一気に展開すると、ARUKAS YOUTH KUMAGAYA7番・九鬼 苺花選手が先制トライ。後半にも4番・橋本 佳乃選手が走り切って追加トライをあげた。

ボールを持たれても守って止め、逆にボールを手にすればスピードランナーたちまで一気に回し、駆け抜ける。

創部12年目の石見智翠館から、なんと12-0の完封勝ちを収めた。

 

山田キャプテンは言う。

「2年前に菅原先生と2人で強豪・石見智翠館高校の合宿に参加させてもらった時は、辛い練習でしたが人数も多く、智翠館の皆さんが優しくしてくれて楽しかったことを覚えています。それから1年後、ようやくアルカスユースが単独チームとして試合に出られた時は、とても幸せでした。今回こんなにも早く石見智翠館高校と全国の舞台で戦うことができ、とても嬉しく思います。」

しかし残念ながら山田キャプテンはこの試合で負傷し、続くゲームへの出場が叶わなくなる。

「晴楽がいなければこのアルカスユースがあったかも分からない。晴楽が守ってくれたアルカスユース、晴楽のための全国大会だからこそ、最後までプレーさせてあげたかったです。(菅原監督)」


菅原監督は3年前まで石見智翠館に勤務。同部のコーチを務めていた

残るプール戦、佐賀工業にも試合終了間際の逆転トライで17-14と勝利。3試合目のPEARLSとは12-12で引き分けたが、2勝1分けでプールB首位通過を果たした。

初日は全て西日本のチームが相手。フィジカルを全面に出し戦ってくることが分かっていたからこそ、そこから逃げなかった。

体をしっかり当てながらオフロードパスを放り、スペースを攻め、ディフェンスでも倒れている選手を減らす。

理想的な戦い方が出来た。


大会1日目、佐賀工業戦で逆転トライを決めた5番・丸山希香選手。全てを出し切ったトライだった

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試合中、自陣深くまで攻め込まれ我慢が続いた時間帯。

そんな時ベンチから掛けられた言葉は「4回我慢!」の声。

「だいたいの女子セブンズのゲームにおいて、4次攻撃我慢したらどこかしらで攻撃側のミスが起こります。もちろん平均的な話なので、5回・6回になることは往々にしてありますが『永遠に攻められるわけじゃない、4回我慢すればいいんだ』と指針を出してあげています。(菅原監督)」

だから、選手たちは何度も諦めずに我慢することが出来た。

抜けられそうになっても、どうしてか追いついて止めるディフェンス。

まだ走ることが出来るのか、と思う程粘り強いゴール際。

「ディフェンスを頑張れるようになった所に成長を感じる」と、菅原監督も目を細める。

実は昨年の今頃、点差が開いてくると途中でゲームを諦めてしまうこともあった。だが今では最後まで粘り強く戦い抜き、ゲームが壊れることもなくなった。

「ラグビーに臨む姿勢については、何度も口酸っぱく話をしてきました。私たちには専用のグラウンドがありません。クラブハウスもありません。今日はここで練習するぞ、という所に保護者の方々が送迎してくださる。そういう人たちの想いをしっかりと感じ取って欲しい、と1年掛けて伝え続けてきました。そこの部分の成長を、今とても感じています。(菅原監督)」

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