11月13日(日)、東京都・秩父宮ラグビー場で第102回全国高等学校ラグビーフットボール大会 東京都予選・決勝が行われ、花園出場校が決定した。
試合概要
【決勝】
國學院久我山高等学校 × 成城学園高等学校
【日時】
2022年11月13 日(日)11:30キックオフ
試合結果
國學院久我山 29 – 5 成城学園
60mins
2014年以来の決勝カードとなったこの日。
成城学園のベンチ裏には、3つの寄せ書きが掲揚されていた。
そのうちの一つに書かれた文字は、「奇跡を起こせ」。もう一つには「この壁を越えろ!決勝 対國學院久我山 2014.11.9」と並ぶ。
今日、この場に立っている選手たちだけで戦うのではない。
繋がれてきた歴史が、選手たちの背中を後押しした。
見えない力をパワーに変えた成城学園は、前半から攻め立てる。
前半1分で組まれた相手ボールスクラムを、ターンオーバー。会場を沸かせた。
しかし大きく喜ぶこともなく、一喜一憂しない落ち着き払った姿は、目の前の喜びよりも60分後の勝利を見据えているかのよう。
ボールを獲得する度に、いくつかハイタッチを交わしてから次のポジションについた。
膠着状態を破ったのは、國學院久我山。
前半20分、ゴール前でのペナルティでスクラムを選択すると、12番・長谷川裕太選手が縦に抜けトライ。
7点を先制した。
プレイスキッカーの9番・酒井明人選手に水を届けたのは、コンディション都合でメンバーを外れたHO本橋陽助選手。今秋のとちぎ国体では、東京都代表の主将・副主将としてチームをともにまとめ上げた間柄だ
多くのクラスメイトたちが応援に駆け付けた成城学園は、声援とともに反撃に出る。
ハイボールを蹴り上げ、徹底的にタックル。相手にオーバーザトップの反則が取られると、タッチに蹴り出し敵陣深くでのラインアウトへとエリアを前に進めた。
そのラインアウトからモールを組み、機を見てモールサイドを走り抜いたのは5番・岩永陸選手。
前半を7-5の僅差で折り返した。
後半になると、風上に立った國學院久我山が自らの強みを存分に活かしたプレーを繰り出す。
ペナルティを得ると、タッチに蹴り出してラインアウトモール。徹底した戦術で、3つのトライを連続して重ねた。
そのスコアラーは全て、2番・清水健伸キャプテン。
プレーでもチームの中心となった。
傷んだ仲間にもすぐに駆け寄る、視野の広さと思いやりに長けたキャプテンシーの持ち主
國學院久我山の選手事情は苦しかった。
去年の花園でもプレー経験のある、主力選手たちに怪我が相次ぐ。
SO袖山遼平の代わりに10番を背負ったのは、1年生の齋藤航選手。
自陣深くからの脱出キックでチャージを受けてしまうと、11番・鈴木彪馬選手(3年生)はすかさず声を掛けた。
「コウ!大丈夫!」
土屋謙太郎監督は言う。
「1年生スタンドオフの齋藤、前半苦しい所でトライを取り切ってくれた12番・長谷川裕太ら、下級生が粘り強く頑張っていた。全国に向けて、良い経験をさせてもらった。」
対する成城学園は、後半になるとペナルティが嵩んだ。
後半だけで9つの反則。対する國學院久我山は0。
苦しくなった様は、ペナルティ数にも表れる。
後半25分、成城学園は16番・中山太智チームキャプテンがピッチに姿を現す。スクラムを組む前、空を見上げ大きく息を吐いた
ノーサイドの笛が鳴った時には、29-5。
後半だけで國學院久我山は4つのトライを奪い、見事2年連続の花園出場を決めた。
清水キャプテンは言う。
「春季も成城学園さんとは戦ったが、決勝に向けての仕上がりを感じた。僕たちにとっても良い経験になったし、次に繋げられるような試合ができたと思う。感謝しています。」
國學院久我山は東京都第一地区代表として、12月末から行われる花園での全国大会に挑む。
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