見つけたのはパラダイス。東洋大学が大学選手権へ進んだ7つの理由

理由5:融合

東洋には、小さなことに気付くことのできる選手が多い。

落ちている服を拾って畳み、置いておくこと。

雨が降ったら、怪我人やサポートメンバーが何も言わずに靴を室内に入れておいてくれること。

「上級生が下級生に押し付けず、自ら実践する」という文化が根付いている。

力強いボールキャリーを強みとするヴェア タニエラ選手(フランカー、3年生)は「選手や監督、コーチが立場関係なく注意し合えること。そこが一番好き」と話す。

多国籍な選手が集まる東洋大学。

日本語がまだ上手に話せない外国籍の選手であっても、一生懸命にコミュニケーションを取る。

日本語だけではなく、様々な方法で意思疎通を図ろうとする。そこが、このチームの良い所だという。

また東洋では、2年程前から全員の練習着を統一した。

基本となるのは、その年々のスローガンをモチーフに制作したチームシャツ。

今年のスローガン『Paradise』が背に大きく描かれたシャツは、試合時のみに着用することが決まっている。

だから普段の練習では、1年前の『We Achieve』、2年前の『Breakthrough』、3年前の『Just Have Fun』シャツを事前に決めたスケジュールに沿って着回している。

今年の『Paradise』チームシャツの背中に描かれているのは、練習グラウンドがある埼玉県川越市の地図。

デザインに携わった福永監督は、意図をこう説明した。

『井の中の蛙大海を知らず、されど空の青さを知る』

この場所こそが、美しい場所なんだ。何より、絶対に縁があってここにみんなが集まっている。

だから、この場所に感謝しよう。

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今季初めて提携を結んだのは、認定NPO法人Being ALIVE Japan。

長期療養を必要とするこどもたちに、最高のこども時代『青春』を実現するTEAMをつくることを目的として始まった活動である。

「こういうプロジェクトを取り入れたら、チームも更に良くなるんじゃないか」という福永監督の提案から、今季は小学4年生の小川和真くんをチームメイトとして迎えた。

「東洋は全員が寮生活。コロナの影響でこの数年ほとんど外出できなかったので、社会生活において他と関わることが薄かったんです。だけどこの活動を通じて、自分たち以外にも影響を与えることができるんだ、と直に感じることができました」とは、寮長を務める吉岡義喜選手。

選手たちにとって、社会との関わりを学ぶ場にもなっているのだ。


吉岡義喜選手(SH)、石山愁太選手(HO)、金晃輝(WTB)が中心となって今活動を推進する

そうしてチームに加わった小川和真くんは、春季大会やジュニア戦含め今季5試合を現地観戦。

勝率はなんと100%を誇る。

「和真くんが来るとなると、みんな気合いが入るんですよね。逆に和真くんは、緊張しているみんなを和ませてくれる。相乗効果、まさしく和真くんパワーです。」

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理由6:自信

「自分たちのチームに自信がある」と話したのは、SH神田選手。

グラウンドに来たら誰かが必ず練習をしていた4年間。

毎日、どの時間に行っても必ず誰かがグラウンドにいる。そういう4年生たちが集まっているからこそ、自信を持ったプレーが生まれる、と分析する。

かくいう神田選手も、その「必ず誰かがいる」側。スタンドオフの土橋選手と2人で、毎日自主練習を重ねてきた。

「みんなが一生懸命。試合中も、やってきたことだけを出してプレーできている」と話すはSO土橋郁矢バイスキャプテン。

土橋バイスキャプテンもまた、私生活から正し、挨拶や掃除を4年間徹底してきた積み重ねがグラウンド上で自信として表れている、と感じている。

「みんな目標が一緒なんです。4年間やってきたことが現実になってきていることで、自信も、気持ちも高ぶって。今、本当に雰囲気が良いです。」

一つ一つのステップを踏み重ねてきた自信が、全員を同じ方向へと向かせている。


試合では、やってきたことだけをやる。そしたら絶対に勝てる。(土橋副将)

1・2年生では2部でベストフィフティーンに。3年生の今年、舞台が変わった1部リーグでもベストフィフティーンに選ばれたヴェア タニエラ選手は「レベルが上がった先でも選ばれたことが嬉しかった」と話す。

1部で戦える自信もついた。

だから、相手が誰になっても、自分のやることは変わらない。タックルやボールキャリーは、更に高いレベルを自らに求めていきたい、と意気込む。


大学選手権に向けてワクワクしている。こんなに素晴らしい舞台に出して頂けることが嬉しい。全力で戦いたい。(ヴェア選手)

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