7-8位決定戦:熊谷工業×川越
熊谷工業 57 – 0 川越
「川越のフルバック・川妻廉太朗選手にはロングキックがあるし、カウンターの力もある。別にボールを動かせる場所がないわけではないのに、わざわざ蹴って相手にポゼッションを渡していた。」
だから熊谷工業・橋本大介監督は、選手たちにキック禁止令を出したのだ。
「どこであっても蹴るな、と。そこから開き直って、本来の形になれたことは良かったなと思います。今日は(序盤の試合内容として)まずい中で勝てたこと。新2年を多く試合に出せたことが収穫です。」
失敗から学ぶのが、ここ新人戦の舞台なのである。
昨年主力だった3年生たちが大勢抜け、不安の中でスタートした新チーム。チームを率いる佐藤陽翔キャプテンは、敗戦から学んだことがあったと話す。
「初戦の立教新座戦で勝利した後の2連敗。今日の川越戦は勝つだけではなく、0点で抑えようという共通認識で挑みました。その結果、完封勝利。得られたものは大きかったな、と思います。」
負けたことで自分たちに足りないものを再認識できたことが、今大会1番の実りだ。
「個人の力を磨いて、チームを強くしていきたいです。」
橋本監督は言った。
「這い上がりがいのある7位。」
高校生にとって、「敗戦は薬。(橋本監督)」
秋に向け、チームはまだ始まったばかりだ。
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一方、敗れた川越は新人戦8位。
後藤晃太キャプテンは「最後は充実感よりも、足りないところが目についた。悔しい」と悔しさを滲ませた。
どうしても強いキャリアー、頼りになるエースに頼りがちになってしまう今のチーム。その中心選手たちがピッチの外に出ると、一気に流れが傾いてしまうことが顕著に表れた大会だった。
しかし、だからこそこの1ヵ月で、チームとしての経験値を上げることもできた。
「今大会を通して、25人~30人の選手たちをピッチに立たせることができました。それは良かったこと。」
柳澤裕司監督も、チームの伸びしろに期待を寄せる。
強いチームと毎週末公式戦を重ねたこと。実践でたくさんの学びがあったこと。いまの高校2年生にとっては、全てが初めての経験だった。
川越は、高校からラグビーを始めた選手たちばかり。だからこそ「みんなでレベルを上げていきたい」と後藤キャプテンは誓った。