帝京、圧倒。それでも「小さな変化を自ら望む」。筑波は「最大出力数を上げる作業」へ|帝京×筑波|関東大学ラグビー 対抗戦Aグループ

帝京大学

80分間、もれなく圧倒した。

全てのスピードを、帝京が上回る。

特に目を引いたのはリアクションスピード。相手ボールのラインアウトモールから楕円球が離れた瞬間、躊躇うことなくディフェンスの一歩目を踏み出せば、マイボールモールでは2番・江良颯キャプテンが一瞬でモールサイドを駆け抜けた。

研ぎ澄まされた判断力で、紛うことなき凄みを見せつけた1月2日ぶりの再戦だった。

秋も深まったこの日、江良キャプテンはチーム状態について「だんだんとまとまってきたイメージ」と説明する。だが「まだ全然完成していない」と続けた。

「個人のスキルは上がったし、春・夏を通してフィットネスもフィジカルも上がりました。だから冬に向けて、もう一つチーム一丸となれるように『チーム』を完成させていきたいです。」


それぞれにコミュニケーションをとる姿は、グラウンドのそこかしこで見受けられた

1年次から2番を背負う者として、成長し続けた分だけ相手と差が出ることを知るスキッパー。

「僕たちは日本一を目指し続けています。そしてそのプロセスも大切にしたい。日本一だけではなく、チャンピオンチームになるために。周りの方から応援されるチームとなるために、成長を止めたくありません。帝京大学は大学選手権9連覇を達成したこともありますが、これまでで一番良いチームで優勝したい、という気持ちが強いです。」

ひたむきに、チャレンジャー精神をしっかりと持って、日々の練習に向かっていきたいと穏やかに語った。

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この日多くの関係者から絶えず声を掛けられていたのは、相馬朋和監督。現役時代、長く住んだ群馬県での好ゲームに笑顔を見せれば「ラグビーの原理原則において一番大事なことを80分間やり通してくれた」と選手たちを賞賛した。

このチームで過ごす時間も、残り3か月弱。

「今あるものを更に良くするために、小さな変化を繰り返していく。それが今のチームにとって大事なことだと思います。我々自身が小さな変化を望んでいく。今あるものを大切にして小さな変化を繰り返せば、それが見ている方々の目には何か大きく変わった、と映るかもしれません。」

まだまだ完成形ではない帝京大学ラグビー部。

日々の小さな変化を自らが望んだ先に訪れる、新年の集大成ではどのようなラグビーが見られるものかと待ち遠しい。

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WTB青栁潤之介「地元で、アグレッシブに」

群馬県出身の青栁潤之介選手は、これが初めての凱旋試合。バックスタンドには多くのラグビー少年・少女が駆け付け、また高校時代の後輩らも声援を送った。「前泊の宿も自宅から程近い場所。こんな所に泊まるのか、と新鮮でした。地元でラグビーができて楽しかったです」と笑みを浮かべた。

大学に入学した直後からファーストジャージーを着続け、初めて迎えた対抗戦でも開幕節から4試合連続で先発フル出場。これまで5トライを決め、順風満帆なルーキーイヤーを過ごしているかと思いきや、悩みはあった。

「最近アグレッシブにプレーできていないな、と感じていたんです。だから今日はマインドセットを変えて挑みました。ボールを持ったら、とにかくアグレッシブに攻める。いつもよりはしっかり攻められたかな、と思います。」

試合後、右目の上には切り傷が。アグレッシブに攻めた勲章が残っていた。

「まずは怪我をしないで、帝京大学で試合に出続けること。そして目標を立てた日本一に向かって突き進むこと。」

目の前の山を、日々登り続ける。

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CTB上田倭士「考えすぎずに、良いプレーを」

この日の9トライ目を挙げたのは、1年生センターの上田倭士選手。「周りの先輩方が自分のやりたいことを自由にやらせてくれている。自分は考えすぎることなく、好きなことをできています。それが良いプレーに繋がっている」と周りに感謝した。

「課題はディフェンス。まだまだ足りない、強くタックルに入れていないというイメージがあります。タックルに入れても、相手に乗られてしまうシーンが多いんです。だからそこで、もっと強く入れるように。頑張ります。」

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試合後コメント

相馬朋和ヘッドコーチ

筑波大学さんというタフな相手に対してプレッシャーを掛け続けることができました。選手たちは良い試合をしてくれたと思いますし、チームとして良い状態であると言えるのではないかなと思います。

本当に良く動いてくれました。前に出るスピードが速かった。ブレイクダウンでも良く前に出ましたし、ラグビーの原理原則において一番大事なことを80分間やり通してくれたので、良い選手たちだなと思います。良い環境がある、良い文化のもとで、選手たちが毎日一生懸命頑張っている証拠です。

江良颯キャプテン

アタック・ディフェンスともに、僕たちの良いラグビーが出た試合だったと思います。それでも前半の最後、規律が乱れてしまった。しっかりと次戦に向けて修正していきたいと思います。

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