「勝たせてやって、茗溪学園と試合を、と思っていたのになぁ。」報徳学園、涙の花園ベスト16|報徳学園 15-17 東海大大阪仰星|第103回全国高等学校ラグビーフットボール大会

報徳学園

コンバージョンゴールの2点を阻止するキックチャージを決め、2点差に迫るトライのラストパスを放るなど活躍光ったのは11番・タウファテビタ悦幸選手。

「自分がもっとやっていれば、という気持ちは正直あんまりありません。チームとしても『もっとこうやっておけば良かった』という判断の後悔は、多分ほんまになくて。自分たちがやってきたことを本当に全力でやって、結果、簡単な所でミスが起きたことが命取りになったと思います。」

昨年も花園の舞台に立った2年生エースは、冷静に60分間を振り返った。

「去年の3年生たちには、ものすごく有難い経験をさせてもらいました。だから今年は気持ちの部分で、去年と比べて落ち着いてプレーできるようになった。メンタルの部分で少し余裕を持つことができたことが、僕自身のこの1年間の成長だと感じました。僕はまだ来年もある。次に繋げたい。」

悔しさの中にも、芽生えた覚悟を滲ませる。

その一方で、1年間チームを率いたSO菊川迪キャプテンには可能な限りの感謝の言葉を口にした。

「迪くんがおるから、っていう安心感がハンパなかった。迪くんが引っ張ってくれるから、安心してプレーできた部分もすごくありました。迪くんにボールを渡せばどうにかしてくれる、という想いもあったし、迪くんがいたからチームはまとまった。迪くんがいるだけでチームは一つになりました。感謝しかないです。」

引き継ぐ者として。「迪くんみたいな存在になれるか分からないですが、でもそこを目指したい」と宣言した。

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一方、この1年間いかなる時にもチームの先頭に立ち続けた菊川迪キャプテンは、グラウンドの外に出ると大粒の涙を溢れさせた。

「自分は今の3年生たちよりも1歳年上。みんな慣れない中でもついてきてくれた。僕がキャプテンで良かったのか分からないですけど、この学校に来てよかったと思います。」

とめどなく流れる涙を零しながら、高校生活を振り返った。

茗溪学園中学を卒業後、当初はニュージーランドへ渡る予定だった菊川キャプテン。だがコロナ禍により叶わず。2021年からは、報徳学園でプレーすることを選んだ。

様々な選択肢があった3年前。いま、この時間をここ報徳学園で迎えていることに「後悔はないです」と、きっぱりと口にした。

「1・2年生には、良いプレイヤーがいっぱいいます。優勝を目指して頑張って欲しい。」

そして自身は「次は大学でしっかりと試合に出られるように頑張りたい」と次なる目標を見据えた。

西條裕朗監督は言う。

「(菊川キャプテンは)クールでね。でもこんなに泣くんやな、と思いました。キャプテンとして常に冷静でいないといけない、と自分で一生懸命律していたのだと思います。勝たせてやって、(準々決勝の)抽選で茗溪学園と試合を、と思っていたのになぁ。そう思ってやってきたんですけど。相手が強かったです。」

春、全国選抜大会では同点。夏の全国セブンズでは対戦叶わなかった茗溪学園。菊川キャプテンにとっては古巣の相手と、最後に対戦をさせてあげたかった。

昨年は報徳学園にとって様々な歴史を作った1年だった。そんなチームを引き継いだ、チーム菊川。

「生徒たちは、そんなにプレッシャーに感じてはいなかったと思います。自分たちのチームだ、迪のチームだ、という意識で生徒たちは1年間やってきました。」

強くてたくましい今年の報徳学園だった。

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東海大大阪仰星

試合後コメント・湯浅大智監督

今日は自分たちがやると決めたプレーの再現性と精度をどれだけ高められるか。そしてこの試合だけ雨と風があったので、その中で自分をしっかりとコントロールすること。これがキーでした。

今日はボールを奪えそうで奪いきれてはいませんでした。ボールを奪いきること、そして攻撃の察知能力を上げていきたいと思います。

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