明治大学
試合後、鳴り止まなかった『廣瀬コール』。
山本嶺二郎副将に肩を抱かれながら、明治大学ラグビー部 第100代主将・廣瀬雄也は涙を流した。
スタンドには、今日も変わらず多くの明治ファンが詰めかけた。
試合中、苦しい場面では何度もかかった明治コール。
だからこそ「100周年という節目で優勝を見せられなかった悔しさ。ファンの人たちへの申し訳なさが募った」と廣瀬キャプテンは吐露した。
「4階席を見たら、同期や仲間が手を振ってくれていました。このチームで主将をやらせてもらって、明治を選んで良かった、って。」
二人三脚で歩を進めてきた、山本バイスキャプテンは言う。
「ファンの方から見ても、そして一番近くにいた僕から見ても、100年で一番良いキャプテンだったんじゃないかなと思います。」
練習試合では、自身が出場しないグレードのゲームにおいても、ポール裏から見守りチーム明治を作り上げたリーダー陣。
100年で一番良いキャプテンの傍らには、100年に1度のバイスキャプテンがいた。
「廣瀬コール。ふつう、ありますか?あんなこと。すごくないですか?」
驚き、喜び、そして涙した者がもう1人。
主務として、そしてレフリーとして今年1年間チームを支え続けた不京大也だった。
「試合終了間際にトライを取られてしまっても、選手たちは『最後まで戦い抜こう』と話してくれていました。特に(キャプテンの廣瀬)雄也は、ずっとみんなを鼓舞し続けていて。自分自身もキツい状況だったと思うんです。そんな中でも、一番明治を体現してくれていました。80分26秒、やりきってくれたなと思います。」
試合後には「ありがとう、お疲れ様」と感謝の気持ちを笑顔で伝えた。
11番・海老澤琥珀
トライを奪い、チームに勢いをもたらした1年生ウイング。試合に敗れ涙したのは、これが初めてだったという。
「負けてしまってすごく悔しい。来年もしっかりと優勝を目指して頑張りたいと思います。」
自身2年連続の準優勝。この景色を、忘れない。
9番・萩原周
ベンチに戻った萩原選手の目は赤かった。
「終わっちゃうんやな。」
このチームでラグビーができたことの嬉しさ。そして、4年間を終える悲しさが入り混じる。
紆余曲折あった明治大学での4年目。だが大学選手権では「何気ないプレーで活躍できた、その姿を後輩たちに見せることができた」と誇りをもった。
試合を終えると、1学年下のスクラムハーフ、登根大斗選手の背を叩く。
言葉は掛けなかった。ただその右手に「頑張れ」を込めた。
試合後コメント
神鳥裕之監督
色んな事があった中でも、最後まで試合ができたことに感謝したいと思います。
帝京大学さん、3連覇おめでとうございます。強かったです。
勝つことができなかった、勝たせてあげられなかったことに監督として責任を感じています。
100周年というプレッシャーの中でここまで戦った選手たちを誇りに思います。
4年生たちの次のチャレンジを心から応援したいと思いますし、また3年生以下については、さらに成長してくれると信じています。リベンジするような強いチームを作って帰ってきたいと思います。
廣瀬雄也キャプテン
準決勝の地震、そして今日の雷。最後まで明治のラグビーが素晴らしい舞台でできたこと、幸せです。
100周年の節目、全く悔いはありません。後輩たちにはこの悔しさをバネに、もう100年続くよう継承して欲しいと思います。
僕自身、雪の中での試合は初めてでした。グラウンドの中ではリラックスしていたし、雪の早明戦じゃないけど・・・と思い出しながら、今この瞬間にラグビーができることを楽しんでいました。