4月28日に開幕した、サニックスワールドラグビーユース交流大会2024。
大会初日には男子15人制で8試合、女子7人制で12試合が行われた。
男子15人制・予選リーグ1日目 試合結果
11:00/スタジアム
プールA
トルロ カレッジ(イングランド)14-24 大阪桐蔭高等学校(大阪)
トルロ カレッジ(イングランド)
2日前に日本に到着し、時差ボケや日本食をも楽しみながら徐々に適応していると話したのは、イングランドからやってきたトルロ カレッジのスクラムハーフ、ジョシュ・ペンギリー キャプテン。
大会1日目の対戦相手は、第25回全国高等学校選抜ラグビーフットボール大会優勝校・大阪桐蔭。
「チャンスの場面で取り切ったところがさすがだと思います。本当はそれを僕たちがやりたかった」と讃えた。
今大会の目標は、できる限りのベストパフォーマンスを発揮すること。
「素晴らしいスタジアムで試合ができて嬉しかったです。結果は望んだものではありませんでしたが、ここで悲しんでいられないので。次のゲームに向かいます」
試合後も多くの選手がスタジアムに残り、他の試合を観戦しながら国際交流を楽しんだ。
12:20/スタジアム
プールB
マハトマ ガンジーメモリアル スクール(フィジー)0-25 桐蔭学園高等学校(神奈川)
マハトマ ガンジーメモリアル スクール
今回参加選手のうち、98%が初めて飛行機に乗った。パスポートすら所持したこともなかった。
10時間のフライトで2日前に成田空港へ到着し、空港で一晩明かしたのち羽田空港から福岡空港へとやってきた疲れももちろん、あった。
だが「言い訳はしません。この敗戦を謙虚に受け止めます」と話すは、コロイ・マタティゴ ヘッドコーチ。
何より、今大会のホスピタリティレベルに心から感謝した。
「私たちを王族かのように気にかけてくださいます。日本のみなさま、大会関係者のみなさま、本当にありがとうございます」
この場にいられるだけで、選手たちは嬉しいのですと笑顔を見せる。
試合後、選手たちが口にした昼食は日本の一般的な『お弁当』。
もちろん、日本食は初めて。
箸を持ったこともなかったが、器用に口に運んだ。
「美味しいよ。日本食にも慣れてきた」と選手たちは美味しそうに頬張った。
桐蔭学園高校
「この大会を楽しめるように。日本国内で試合をするイメージよりも、海外のチームに対応できるようボール離れを意識した練習をしてきた」と話すは藤原秀之監督。
申驥世キャプテンは、その意図を少しだけ詳しく説明した。
「海外の選手たちは腕が長く、ジャッカルをされてしまう。だから誰かが抜けた後、いかにラックを作らず全員で繋いで繋いで一発で取り切るか、という練習をしてきました」
もちろん、選抜大会時から目指す『速いラグビー』が軸であることに変わりはない。
体が小さい分、スピードを上げたい。ゲームスピードに判断スピードも、求める『速さ』の一つ。
「コントロールを失わない程度の速さで、正しいジャッジができるように(藤原監督)」と準備した。
大会1日目は、藤原監督曰く「相性が良い」というフィジーのチームが相手。
「初日のフィジー戦だけを考えて対策を練ってきた」と言った申キャプテンだったが、試合後の開口一番は「想定外が多すぎた」という驚きの一言だった。
「体が強いと分かってはいたのですが、1人止めたと思ってもまた1人来て次に繋がれていた。顔を上げたら、もう違う所にボールを運ばれてしまっていて。今までの試合の中で、今日が一番キツかったです」
初めての国際試合。良い経験を得た。
桐蔭学園はこの日、敵陣22m内でペナルティを奪えば、PGを狙い続けた。
3点を重ねること、6度。18点をPGで稼ぎ、フィジーを引き離した。
「試合を覚えさせないと」と藤原監督が言うその背景には、選抜大会での苦い思いがあった。
「PGを狙っていい所で狙わなかった。選抜はちょっと失敗させてしまった」
申キャプテンも加える。
「準決勝・大阪桐蔭戦では、22m内に入ってから得点できなかったことが課題でした。得点圏に入ったらショットで刻んでいこう、と事前ミーティングで話していたので、プラン通りでした」
ファーストトライは、試合最終盤。
14番・草薙拓海選手が敵陣インゴールまで届く裏へのロングキックを蹴り込むと、草薙選手と15番・古賀龍人選手でチェイスに走る。
ゴールライン際でボールを奪い返しラックを作れば、その脇に6番・小川健輔選手が飛び込んだ。
試合の2時間前には、選手宣誓の大役を務めた申キャプテン。
任命されたのは、なんと前夜19時半のこと。
そこから仲間と一緒に、入れ込みたい内容を考え、文章を作り上げた。
前年度花園優勝校を引き継いだ者として、立派に務め上げた。