明治大学
チーム練習を始めたのは、5月も半分を過ぎてから。
法政大学戦、わずか数日前のことだった。
ゆえにこの日はミスも目立ったが、現時点でのチームエラーについては「そんなに気にはしていない」と神鳥裕之監督は言う。
「ヘッドコーチが練習に加わったのも今週から。15人全員でのアタックトレーニングやディフェンスのチームシステムは、ほとんどやっていません。その分注力した体のぶつかり合いの所、ブレイクダウンでのファイトやボールキャリーでの激しさは、かなり良くなってきた」と満足感を得た。
キーワードは『15 ALIVE(じゅうご あらいぶ)』
15人全員がグラウンドに立ち、プレー可能な選手として生きることにフォーカスしている。
まだまだ駆け出しのこの日は課題も残ったが「試合中に『15 ALIVE』という声がずっと出ていたので、良い出だしを切れた」と木戸大士郎キャプテンは話した。
また神鳥監督は、先発出場した2人の1年生について「活きが良かった」と評価する。
今年は競争を高めることが狙い。
この日初めて紫紺に袖を通した4年生LOの稲村心選手や、3年生となり念願の公式戦デビューを果たしたスクラムハーフ・柴田竜成選手、また初の先発出場となったU20日本代表候補の2年生・山口匠選手(プロップ)ら多様な面々をメンバー表に揃えた。
「みんなにチャンスがある。競ってほしい(神鳥監督)」と願う。
そんなチームを束ねるは、第101代主将・木戸大士郎(No.8)。
「あまり気負わないこと」を自身の心に刻み、ラストイヤーのスタートを切った。
「心に余裕を持っていたい。キャプテンだから、と根を詰めてしまったら自分のプレーがおろそかになってしまうし、しんどいと思う。だからまずは自分のプレーに注力してから、周りにも声を掛けるようにしたいと思います」と、長く続くシーズンを見据えた。
2人のルーキー
この日、初めて紫紺の10番に袖を通したのは、入学間もない萩井耀司選手(桐蔭学園高校出身)。
「(10番を)着られたことは嬉しいですが、まだ自分の100%のプレーはできていない状態」と悔しそうに振り返った。
緊張もあった。
ゲームメーカーというポジションゆえの悩みもある。
「周りの上手い先輩たちを活かそう、と思うと自分が硬くなってしまいました」と、自らで仕掛ける回数が少なかった理由を語る。
加えて、この日蹴ったコンバージョンゴールは全部で8本。そのうち4本しか入らず、成功率は50%に留まった。
第1節の流経大戦では、B戦含め10本以上蹴り込み成功率100%。
前日練習でも当たりは良く、調子良いかと思われたが、この日は苦戦した。
だからまずは、自分らしくグラウンドに立ってプレーできるようになること。
自分らしいゲームメイクを、明治のラグビーに組み込めるようになりたい、と夢描く。
「明治の10番はガツガツ行くイメージがありますが、そこで僕は、人とは違った自分らしさを出したい。強みのパスを起点に、周りとコミュニケーションを取りながら機を見て自分でも仕掛けるプレーを出していきたいです」
自分を主張できるような、自信のもてるプレーを積み上げること。そして紫紺を着続けることが目標、と語った。
またこの日、出色のプレーを見せたのは同じくルーキーの15番・為房幸之介選手。
「周りがすごく上手いので、引っ張られて自分も自由にプレーができています」と好調な理由を話す。
やり易い、と何度も口にした。
大阪は常翔学園高校出身。
高校1年、2年と全国高等学校ラグビーフットボール大会に出場したが、3年次は怪我に泣いた。
大阪府予選にも出場できず、予選敗退。悔しい1年間を過ごすと、明治大学入学後すぐに東日本大学セブンズで紫紺デビューを果たした。
4月末から始まった春季大会にも、2戦連続フルバックとして先発出場している。
最大の強みはランスキル。
スタンドオフやセンター、ウイングなどもこなす万能バックスだが、スペースのある「15番が一番やり易い」と為房選手は言う。
当面の目標は「今もっているスキルを全部レベルアップさせて、もっと良いプレイヤーになること」。
プレーだけでなく、オフフィールドでも人のことを想えるような、人として『できている人』を目指したい、と目を輝かせた。