関東大会1回戦、埼玉激闘録。初出場・初勝利の本庄第一は「また、プレゼントもらいました」|第73回関東高等学校ラグビーフットボール大会

熊谷工業

「激しくやろうという気持ちは伝わってきた。でも、冷静さがなかった」

日大明誠との試合を終えた橋本大介監督は、そう振り返った。

感情の高ぶりが、判断を曇らせた前半。チームに必要だったのは、“ただの激しさ”ではなく、“正しく激しく”だった。

「ラック周りでターンオーバーしようという意識はあったが、出過ぎてしまった。正しくできていなかった」と紡いだのは、今季のキャプテンを務める1番・林蒼太選手。

ハーフタイムに指揮官が与えたキーワード『正しく、激しく』を胸に、後半は修正を施してピッチに立った。

「冷静に、落ち着いてやろう」

後半8分には林キャプテン自らがスコアラーとなって、左中間にトライを決めた。

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試合後の橋本監督の表情は柔らかかった。

「日大明誠さんとは、3月20日に練習試合をしていました。関東予選を勝ち上がるべく組んだ練習試合の一番最初のゲームが、日大明誠さんだったんです。日大明誠さんも同じようにスタートして、互いに勝ちぬいて、関東大会の舞台で戦うことができました。だから『どっちが成長したかな』と、そんな話もしていました」

だからこそ相手は、スカウティングもしっかりとしてきていた。

「そういう戦いのなかで勝ちきれたことは大きい」

36-17とダブルスコアをつけた橋本監督の語り口には、確かな成長への手応えがにじんだ。

Dブロック決勝戦の相手は、早稲田実業。

林キャプテンは腰を痛めており、万全ではない体ながら「声でチームを支えたい」と強い眼差しで語る。

できる範囲の中で、できることを探し、実行し続ける姿勢はまさに“正しく、激しく”の体現者そのもの。

ブロック優勝をかけ、名門・アカクロに、熊谷工業らしい強みを生かしたラグビーで挑む。

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