本庄第一
埼玉を出て初めての公式戦。
出足は渋かった。
ゴール前でペナルティがかさむと、2つのペナルティゴールを献上。前半16分にはロングキックを武器にエリアを進めた東京朝鮮が得点機で決め切り、ファーストトライ。
0-11と、いきなりのビハインドを背負った。

しかしそこから自分たちのラグビーに邁進した本庄第一。
自陣でラインブレイクすると一気に攻め込み、最後はラックサイドをパスダミー交え走り込んだ9番・矢野壱靖選手(1年)がグラウンディングすれば、10番・森佑樹選手(2年)が左端からのコンバージョンゴールを成功させる。
前半22分、7-11と反撃に出た。
続くリスタートキックオフからも攻めに転じると、8番・須山岬選手(3年)が左サイドを駆け上がりトライ。
前半終了間際に逆転に成功した本庄第一が、14-11と3点のリードで前半を折り返した。
本庄第一は勢いそのままに、後半立ち上がりにも勢いを掴む。
11番・亀田優斗キャプテン(3年)がいきなりビッグゲインをみせると、後続の選手たちが次々にサポートへ入りこむ。
グラウンディングしたのは、またもやNo.8須山選手。
須山選手は後半10分にもトライを決めれば、なんとハットトリックの活躍で26-11と一気にリードを広げた。
試合終盤には東京朝鮮が巻き返しを見せたが、セーフティリードを保った本庄第一。
26-18で、関東大会初出場、初勝利を挙げた。
「また、プレゼントもらいました」
「生徒が良くやってくれたから。また、プレゼントをもらいました」
感慨深げな表情を浮かべた新井昭夫監督は、短く言葉を発した。
劣勢となった序盤の状況を苦笑いで振り返ったのは、ウイングの亀田優斗キャプテン。
「バックスリーの連携がとれず、相手のキックが僕たちの頭を超え、エリアを取られてしまいました。バックスがチームに悪い雰囲気を作ってしまった」と反省した。
しかしこれは”緊張”が起因したミスではない。
もちろん中には緊張していた選手もいるだろうが、それよりも「自信が先走っちゃった、みたいなところが出たかな」。
負ける気はなかった、と笑顔で、たくましく言った。
後半立ち上がりには亀田キャプテン自身のビッグゲインから流れを呼び寄せ、またジャッカルも決めるなど勝利に大きく貢献。
「自分が足りない所をチームがカバーしてくれている」と仲間に感謝の気持ちを忘れなかった。
初出場にして迎える、ブロック決勝戦。
Eブロック決勝戦の相手は、東洋大学附属牛久高等学校(茨城県)に決まった。
「僕たちはブロック優勝を目指しています。明日もこの勢いのまま、だけど立ち上がりを意識して、同じミスはしないように。勝ちに行きたいと思います」と宣言した亀田キャプテン。
新井監督も「敵陣深くでのラインアウトが取れていれば、もっと楽にゲームを運べたはず。でも生徒がまたプレゼントをしてくれたので良かったです」と感謝の言葉を繰り返し、Eブロック決勝戦へと向かった。