会場がどよめく程のタックルが起こったのは、後半8分。受けたのは、筑波の岡﨑キャプテンだった。なかなか起き上がれないキャプテンを仲間も心配そうに見守るが、下された決断は無念の負傷交代。大事な一戦、残りの30分強を筑波はキャプテン抜きで戦うことになった。
岡﨑選手の分まで、と奮起した筑波フィフティーンはその2分後。敵陣深くでマイボールスクラムのチャンスを得ると、早々にボールアウトし9番がそのままトライを決める。
そのコンバージョンキックを全力でチャージをしに行ったのは、流通経済大11番の中西海斗選手と5番タマ・カペネ選手だった。低い位置での構えから走り出すと、中西選手は出来うる限り、手を伸ばした。流れは絶対に渡さない、そう体現しているかのように。
結果、ボールの軌道は逸れゴール不成功。
この気合いが、この想いが、勝利を手繰り寄せるキーとなるか。
3分後。流経は、高身長の5番タマ・カペネ選手を大外で構えさせる。そしてふわっと浮いたキックパスを内から蹴れば、高さを活かしてボールをキャッチし14番イノケ・ブルア選手へ渡す。そのまま走りぬいた流経、試合を三度、振り出しに戻した。後半13分、19-19の同点。
こうなってくると、どちらがより勝ちたい気持ちをプレーに込められるか、の勝負。
どちらともなく聞こえてくる、「いくぞフォワード!」の声。スクラムに接点に、とんでもない消耗戦だ。だがここを勝ち抜かなければ、準々決勝には進めない。
フィジカルバトルとなったこの試合、後半30分も過ぎれば、あちこちで痛む選手が続出した。筑波7番・岩田真樹選手が足を攣って動けなくなった時には、近くにいた流経の坂本キャプテンが手を貸す。これぞまさに「ラグビー」。
刻々と過ぎる時間。
後半早々負傷退場した筑波の岡﨑キャプテンに変わって入った22番の松島選手がジャッカルを決めた時には、流れが少し筑波に傾いたようにも感じた。
しかし。無常にも最後は、双方ノックオンでノーサイドの笛が響く。
トライ数・コンバージョンゴール数ともに同数だったこの試合は、大会規定により、抽選で次戦への出場権を決めることとなった。
そして・・・