記憶に残るプレイヤー
筑波大学 松永貫汰選手(関東大学対抗戦A、最終節)
ラグビーとは、15人と15人で戦うもの。フィールド上には30人のプレイヤーが存在しますが、誰1人欠けても成り立ちません。15人で1つのものを作りあげるのが、15人制ラグビーの魅力です。
しかし一方で、1人とは単なる15分の1ではない、とも思い知らされたのがこの試合。
大学選手権への出場権を懸けた一戦は、12月最初の日曜日に熊谷ラグビー場Aグラウンドで行われました。
勝者は大学選手権に、敗者はその瞬間に今年のチームの解散が決まる。そんな天下分け目の戦いは序盤から激しい攻防が繰り広げられ、両チームともにノートライというロースコアで前半を折り返します。
そして迎えた後半6分。
筑波大22番・松永貫汰選手が満を持して登場すると、トライを奪うまでに掛かった時間はわずか3分。この試合両チームあわせた初トライは、出場僅か3分の選手の手によって決まりました。
その後も後半21分・34分とトライを重ね、出場時間30分弱でハットトリック。
筑波大の岡﨑キャプテンは、松永選手について「最後尾からの要求が上手い」と評します。松永選手が入ってからコミュニケーション量が増えたことは、4階にある記者席からも見てとれました。
試合の空気を一瞬で変えた、筑波に本来の姿を取り戻させた、松永選手の34分間でした。