【2020年シーズン】記憶に残る1ページ<高校生篇>

記憶に残るキャプテン

埼玉県立熊谷高等学校 永嶋信一郎キャプテン

埼玉県予選3回戦から登場した、熊谷高校。

実は試合の1週間程前に、学校内で新型コロナの陽性者が確認されていました。

部活動が活動停止になったことはもちろん、学校自体も休校に。1週間後に控えた初戦を戦えるかすら、分からない日々でした。

ようやく練習を再開できたのは、試合のわずか4日前のこと。

肝心の試合は、横田監督が「出来過ぎ」と評するほど力強い60分間でした。

決戦直前の一週間、まさか練習ができなくなるとは思わなかった。それどころか、試合ができるかどうかも不透明な日々だった。「しんどかった一週間を本当によく乗り切った。メンタルの強い選手たちです。」闘将が選手たちを褒めちぎる、それが全てを物語っていました。

試合後、永嶋キャプテンは言います。

「試合が出来るかも分からず、みんな不安な一週間だった。3年生が『俺たちがやる』って言ってくれたから。3年生が下級生を励ましてくれたから、頑張れました。」

同期と支え合いながら乗り越えた1週間。優勝するまで泣かないつもりだったんですけど、と泣き笑いながらこの1週間の心情を教えてくれたことが、昨日のことのように思い出されます。

試合ができるか分からない不安。目に見えない敵との闘い。どれだけのプレッシャーを、主将として背負っていたのでしょう。

若干17、8歳。乗り越えた強さを感じました。

 

熊谷高校はその後、準決勝で正智深谷と対戦し、同点引き分けに。決勝への出場権を懸けた抽選が行われた結果、権利を得ることはできませんでした。

抽選後暫くしてロッカールームから出てきた永嶋キャプテン。大粒の涙を流しながらインタビュースペースの前に来ると「応援ありがとうございました」と、筆者に手を差し伸べてくださいました。

ラグビー部を引退することが決まった直後に、どうしたら他者に、しかも一介の記者に対して、気を配ることができるのでしょうか。

強いキャプテンだ、と心底思いました。

この難しい2020年度にキャプテンを務めたことを誇りに、これからの人生を歩んで欲しいと願っています。

3回戦 熊谷工業v熊谷【第100回全国高等学校ラグビーフットボール大会埼玉県予選】

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