東海大大阪仰星
2021年度の花園王者・東海大大阪仰星。
新チームで挑んだ2月の近畿高校ラグビー新人大会でもその強さは遺憾なく発揮され、春の熊谷へとやってきた。
この試合で東海大大阪仰星の巧さが際立った、ノーホイッスルトライを2つ紹介したい。
前半9分、13番・大畑咲太選手が3人に絡まれながらも倒れず立ち続け味方のサポートを待つと、そのままいくつかのフェーズを重ねる。時を見てラックサイドを抜けた9番・河道慎之介選手が15番・増山将選手へボールを渡せば、そのまま繋がってトライを奪う。
前半26分には、キックオフリターンから15番・増山選手へボールが渡ると、13番・大畑に繋いで再びのノーホイッスルトライ。
強さと技術と判断と。
一つ一つのボール捌きに、これは高校1・2年生が戦っている試合か、と思わず唸る。
この試合が選抜初出場となった大畑選手。兄は2年前の花園を沸かせた大畑亮太選手。外見はさほど似ていないが、ボールを持った時の雰囲気は瓜二つ。「自信持ってやってこい」とエールをもらった
接点でプレッシャーを掛け続けた東海大大阪仰星。誘うは、相手のノックオン。
「相手のノックオンにたたみかけなあかん!絶対ターンオーバーしよう!」
そう声を掛けたのは、湯浅大智監督。
ベンチから選手たちへ『少しずつのヒント』を与えながら、自ら思考させ、そして成長の機会をうかがう。
4つ目のトライを奪った後には「めちゃくちゃ良いよ!でも、相手にとって嫌なことをしよう」と声を掛ければ、後半15分、松沼寛治キャプテンがゲインを切った瞬間に「よしっ!」と声を上げ、40mの独走トライを見守った。
主将は6番・松沼寛治選手
頂点に立った次の年を創る難しさについて、湯浅監督は「昨年のメンバーと一緒にやってきたことで、自分も同じことが出来るんじゃないか、と希望的観測が先行すること。すると的確な現在地の把握が難しくなる」と話した。
選手たちは非常に真面目な性格。決して勘違いするタイプではないが、それでも「把握しきれてない感じ」をこの初戦で感じ取ったという。
自分自身の現在地、全国における現在地は、どこですか。それを僕たちが丁寧に伝えてあげないといけないですね、と紡ぐ。
「出来ない幅のプレーを、出来る風にやってしまう。そこって、穴になるんですよ。」
そのためにも「やっているつもり、知っているつもりをなくす」ことに注力したい、と言葉を重ねる。
「ジャージを着て、出て、体感しないと本当に自分はどうなのかということが分からない。今日こうやってジャージを着て、出て、しかも次のステージ(2回戦)にしっかりと自分たちで上がれた、というのは評価できるところです。」
この日1トライを挙げた大畑咲太選手も「完成度が高くない中で課題が見つかった試合だった」と振り返る。
「悪いなりにも得点を重ねられたのが前半。だけどその勢いを後半継続出来ない、疲れてしまってボールを回せないことは改善点」と話す。
選抜大会における自身の目標は「チャレンジ」。
「得点機会を生み出すチャンスメイクだけではなく、ディフェンスにも貢献してチームの優勝を下支えしたい。」
東海大大阪仰星の新たな1年がスタートした。
近畿大会の時にはまばらだったお辞儀も、選抜大会では揃った所作へとアップデートされていた
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