8月14日(日)午前に行われた、報徳学園 対 流経大柏の一戦。
春の選抜大会では準々決勝でマッチアップ予定だったが、残念ながら直前で試合はキャンセル。対戦叶わなかったカードである。
5か月越しの戦いの舞台は菅平。春の選抜、夏のセブンズと今季2冠を達成した報徳学園(青ジャージ)に、フィジカルを武器とする関東王者・流経大柏(赤ジャージ)が挑んだ。
試合開始の瞬間から、激しい肉弾戦。ブレイクダウンでボールが行ったり来たりする展開が続く。
均衡を破ったのは報徳学園。
ラインアウトモールからFW戦に持ち込むと、そのまま押し込んで先制のトライを奪った。
一度流れを掴んだ報徳学園は強い。
続くキックオフキャッチからWTB・海老澤琥珀選手が左サイドを駆け上がると、サポートに入っていたFB竹之下仁吾選手にボールが渡ってそのままトライ。キープレイヤーたちが仕事を果たす。
ディフェンスでも見せ場を作るは報徳。
流経大柏が抜けそうな所、1対1のタックルに入ったのはSH村田大和選手。ボールを奪い返せば、海老澤選手がゲインを切って繋いだ先は石橋チューカ選手。そのまま右のタッチ際を駆け上がると、SO伊藤利江人選手がディフェンスの薄くなった逆サイドへキックパスを蹴り上げた。
難なくボールをキャッチしたのは、HO山下秦選手。そのまま左隅に飛び込み、3つ目のトライを奪った。
前半最後のトライも報徳。敵陣5mでマイボールスクラムを獲得すると、No.8石橋選手がそのまま持ち出しポール下にトライを決めた。
強い選手が強くあるべき所で力を発揮した報徳学園。4トライのリードで前半を折り返す。
前半は中々相手陣深くでプレーすることの出来なかった流経大柏。数度得た得点機も報徳学園の堅い守りに阻まれ、ブレイクダウンでボールを明け渡す展開が続いた。
しかし後半に入ると、徐々にチャンスメイクの機会が増える。
スクラムでペナルティを取られた直後の相手ボールラインアウトをスティール。
両センターもランメーターを稼ぎながら、攻略法を編み出していく。
ようやく敵陣5m内に入ったのは、後半も10分近くになった頃だったか。
相手のペナルティから敵陣5mでのマイボールラインアウトを獲得すると、流経大柏の選手たちは声を上げた。
「FW、自分たちで盛り上げよう!」
「FWここだぞ!仕事だ!」
その声に奮起したかのように、危なげなくラインアウトをキャッチ。モールを組み押し進めたが、しかしその瞬間に笛は鳴る。判定は流経大柏のオブストラクション。チャンスを活かし切ることは出来なかった。
ピンチを防ぎきった報徳学園は、そのまま後半最初のトライを決める。
ハーフウェー付近でのラインアウトからボールを繋ぐと、一度は相手にターンオーバーを許すがすぐにブレイクダウンで取り返す。細かく楕円を動かしながら、トライを奪った。
流経大柏待望のトライは、その直後。
キックオフキャッチからCTB飯岡建人選手にボールが渡ると、個人技で相手ディフェンダーを交わし切って最後は独走のトライ。
およそ50mを個人スキルで突破し、突破口を破った。
しかし取られたら取り返すのが報徳学園。またしてもラインアウトモールからトライを決めた。
FWが課題、と認識しているからこそ、報徳学園にとってはフィジカル勝る相手にFWで戦える自信をつけた60分となった。
流経大柏は試合終了間際、12番・阿部煌生選手がこちらも個人技で走り切ってのトライ。
後半はトライ数が2本ずつとイーブンの展開まで持ち込んだが、前半のノートライが響き敗戦。
何かブレイクスルーが欲しい時に頼りになるプレイヤーが複数いることの心強さを実感した一方、チームプレーでのトライを取り切れなかった課題は残る。FW本来の力強さも影を潜めた。
流経大柏にとって、学び多き一戦となった。