アカクロを着る者としての責任。ルーキー2人が対抗戦デビューの早稲田、初戦白星。100周年の立教は「勝利を信じて応援してくれている人たちのために」|関東大学ラグビー 対抗戦Aグループ

早稲田大学

2人のルーキー、対抗戦デビューを飾る。

No.8松沼寛治選手に、フルバック矢崎由高選手。松沼選手は、初のアカクロでもあった。

大田尾竜彦監督は、松沼選手についてこう評価する。「FW8人の足りないものを、彼が埋めてくれる。ただ、No.8としての仕事がもう少しあったらいい。」

自身も、その言葉に頷く。

「いろんな所を埋めるプレーは高校の頃から評価して頂いていました。だから日頃から意識して、どんなプレーでも顔を出すこと、関わることを意識しています。ただ『No.8として』という部分は、自分でもすごく感じていて。FWを押し出す、FWのエースという立ち位置を1年生で任されていますが、そのチャンスに応えられていないのが今の現状です。」

アカクロの8番には、重い責任がつきまとう。

転機は夏に訪れた。

菅平での合宿中のこと。ミーティング終わり、ヘッドコーチの佐々木隆道氏に一人、呼び出された。

「1年生で、まだ遠慮してるやろ?」

同じ関西出身の同じポジションだからこそ、佐々木ヘッドコーチには感じる所があったらしい。

「お前もっと自己強いやろ?1年だからって遠慮すんな。自分がリーダーのつもりでやればいい。」

その言葉は、ルーキーに殻を破る覚悟を与える。

「それまでは1年生ということもあり、発言が出来なかったんです。だけど夏合宿の後半からは、チームトークで何か発信することを心掛けるようになりました。」


佐々木コーチから学ぶは、その熱さ。「一つひとつのプレーに対する本気度。隆道さんが来てから自分の中で意識が変わりました。」

夏合宿以降、松沼選手はAチームの座を獲得する。

「プレーではFWの代表として、アタックでもディフェンスでも前に出続けること。そして、何よりも言葉。早稲田のNo.8には、リーダーシップが大事な要素だと思っています。上級生になってから出来るのは当たり前。1年生の時から出来るのが、一流のプレイヤーだと感じます。」

お手本は、2代上の佐藤健次選手。

「練習から発信してくれて、頼もしい先輩。1年生の頃からNo.8としても出場されていました。そういう人を目標に、自分自身をもっと出していけるようにチャレンジしていきたいです。」

果たしてどんな早稲田のNo.8になっていくか。旅路は始まったばかりである。

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この日プレイヤー・オブ・ザ・マッチを獲得したのは、もう一人の1年生である矢崎由高選手。

何度もラインブレイクしては、とどめの前半37分。相手が蹴り上げたハイパントを自陣22m内でフェアキャッチすると、誰にもボールに触れさせることなく、およそ80mの個人技光るトライを決めた。

「一つの判断が結果に繋がる。素早い判断ができて良かったな、と思います。」

立教が戦術としてハイパントを多用すること、そこにプレッシャーを掛けてくることは事前の分析で分かっていた。前が空くことを予測し準備していたがために結実したプレーだった。

だが、自己評価は厳しい。

「結果的にトライ目前で相手フルバックに追いつかれてしまったのですが、U20で同じことをしたらおそらく取り切れていなかったと思います。タックルされたら一発で倒されてしまったことも、仲間が来るまで待っていられなかった所もありました。まだまだワールドクラスじゃないかな」と口にする。

目の前の試合だけではなく、世界トップを想定したプレーをしたいと開幕前に語っていた矢崎選手らしい答えだった。

その課題を克服するために必要なのが、試合後の時間の使い方だ。

「映像をしっかりと見て、振り返ること。出来なかったことを出来るように、練習を積み重ねていきたいと思います。」

試合前の準備と、試合でのプレーと、そして試合後の振り返り。

長い道のりのさなかに、細かな急階段をいくつも上がる。


トライ直前でヘッドキャップを外した。ギアを上げる合図かと思いきや「暑かったからです。びっくりするぐらい暑くて、今日。熊谷暑いです」と笑顔を見せた

対抗戦初出場で獲得したプレイヤー・オブ・ザ・マッチ。しかし本人は「あくまでも結果にすぎません」とあっけらかん。

「64点のうち5点しか取っていません。もしかしたらハイボールキャッチも評価してくださったのかもしれませんが、それはフルバックにいる以上、僕のこの試合における仕事。マストでやらなければいけないことをやった結果、です。」

次節は果たしてどんなプレーを見せるか。

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試合後コメント

大田尾竜彦監督
自分たちにフォーカスして、先手を取ろうと部員を送り出しました。公式戦ということで練習試合とは違うシチュエーションの中、安定感のあるゲームだったかなと思います。

今年はここからの精度が課題です。最後の仕留めの精度、そこに至る最後のFWのリロードの速さ。そこが今日は課題だったかなと。鍛えてきたことを研ぐ作業をしていきたいと思います。また2週間準備して、さらに自分たちの強みを出していきます。

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伊藤大祐キャプテン

全てのプレーで圧倒しようとしていましたが、足りない部分が多かった。もっと修正しないと次の筑波戦は苦しい展開になると思います。来週はジュニア選手権もあるので、全員で危機感を持って頑張ります。

岡﨑颯馬ゲームキャプテン

先に仕掛ける、をテーマとしました。自分たちのアタックでボールを手放すシーンもありましたが、武器を磨き続けていかなければならないと感じます。

上井草での時間を、どれだけハードに出来るか。チームに戻って、もう一度よく考えたいと思います。

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