コンセプトは『野武士軍団』

2020年7月15日。ラグビー界に、あるニュースが流れた

パナソニック ワイルドナイツ熊谷移転にともなう、熊谷スポーツ文化公園内への新施設建設。なんと、クラブハウスだけでなく宿泊施設まで建設するというから驚きだ。

その一連を取り仕切るのが、細谷啓祐氏(パナソニック ホームズ株式会社 埼玉支社 特建開発支店 開発法人営業所長)。スキームの設計からクラブハウスデザインまでをも担う細谷氏に、話を聞いた。

全てはワイルドナイツが世界一になるため

ーーまずは細谷さんの主な役割を教えてください。

事業スキームの構築から埼玉県・埼玉県ラグビーフットボール協会との協議、ワイルドナイツ含めたテナント各社の要望を吸い上げることまで。全般、と言えばいいでしょうか。」

ーー埼玉県ラグビーフットボール協会が、この一連の施設所有者ということになるんですね。

「そうなんです。熊谷スポーツ文化公園は埼玉県が管理する施設なので、その一区画に作られる施設の建設・所有・管理は埼玉県ラグビーフットボール協会である必要がありました。(埼玉県ラグビーフットボール協会についての記事はこちら

経済圏がまとまっていて、ラグビーの土台がある熊谷だからこそできた今回の全体デザイン。(細谷)

ーー設計する上で気を付けたことは何でしょう。

「アスリートファースト、ということは常に頭においていました。なので新設するラグビー場の芝は、本番と同じ環境で練習してもらうために熊谷ラグビー場Aグラウンドと同じ芝を採用しています。」

ーー参考にしたクラブハウスはありますか?

「ラグビー特有のクラブハウスの作りを勉強するために、ニュージーランドへ視察に行きました。クルセイダーズとハイランダーズのクラブハウスを見ましたが、取り入れた所は多くありますよ。例えばワイルドナイツのロビー・ディーンズ監督と一緒に見に行ったクルセイダーズ、ここはクラブハウスのどこからでもグラウンドに出入りできる。これはまさにディーンズ監督の要望でもあったので、ロッカールームからもミーティングルームからもグラウンドに出入りできるようにしました。」

ーー他に、監督や選手からの要望が反映された点はどこでしょうか?

「廊下のない透明性の高い作りにしました。これはディーンズ監督からのリクエストですね。グラウンドからも中が見えるよう、基本的にはガラス張りです。あとは社員選手が休めるスペースを設けて欲しいということだったので、仮眠室を作りました。少しでもリカバリーになればと思っています。

クラブハウスと同じ建屋の中には、カフェが入る予定です。もちろん一般利用も可能なので、練習終わりに訪れる選手との交流も楽しんでもらいたいですね。」

手前が管理棟兼クラブハウス。2階から直接グラウンドに行けるよう、外階段を設けた。手すりは15本の青い線で作るなど、細部にまでこだわる。(画像提供:埼玉県ラグビーフットボール協会)


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