The Side of 流通経済大学
苦しい1年間だった。
新型コロナのクラスターが発生し、活動停止期間が75日間に及んだこともあった。
試合後、内山監督は涙で声を詰まらせながら、学生たちの頑張りを振り返る。
「普通だったら折れてしまうのではないか、と思う所、4年生たちは決して下を向かなかった。頑張ってくれたと思います。学生たちがシーズンを通して成長していった中、結果を出せなかったことに責任を感じています。」
50点以上の差を離されようとも、最後まで士気を落とさなかった流通経済フィフティーン。
声を出し続けることを、辞めなかった。
「やり切ろう!やり切ろう!」
10本目のトライを取られた円陣でも、声を出す。
「リスタート!」
試合に立つことの出来ない仲間のためにも、全てを出し切る覚悟があった。
4番タマ・カペネ選手の額には、「For♡悠」の文字が。この日のウォーターは、SH野村悠選手が務めた
後半40分に11トライ目を奪われると、10番・中澤響選手は膝に手をつき、11番・永山大地選手は足を折り曲げ芝に触れた。
万事休すかと思われた、後半40分。
しかしそこから、流経の「ダイナミックラグビー」が返り咲く。
後半42分、20番・星野竜輝選手がまずは1本、トライを取り返す。
しかし声を上げて喜ぶことはなく、次のキックオフに向けてセットに着くよう、グラウンド中央を指した。
そして生まれた、ノータイム・ラストワンプレーでのトライ。
自陣22m付近でボールを持つと、50m超をひとりで走り切ったのは3年生の11番・永山大地選手。
ゴールポスト中央にトライを決めると、グラウンドの方を向いてしゃがみ込み、そして目頭を覆った。
まずは15番、河野竣太バイスキャプテンが。そして2番・西山大樹キャプテンが、永山選手の元に駆け付ける。
「最後トライを取ったのは3年生。たくましい後輩です。23人全員が最後まで諦めなかった、それがよかった。(河野バイスキャプテン)」
独走トライ、だけどインゴールまで駆け寄ったリーダーの2人。
それが、人の上に立つ、ということなのだろう。
客席から応援したノンメンバーに挨拶をする、その最後まで、永山選手の涙が枯れることはなかった。